女性保険
平均寿命は男性より女性の方が長くなっていますが、乳がん、子宮がん、卵巣のう腫、子宮内膜症、子宮外妊娠、流産、乳腺症など女性には男性にはなかったり、ほとんど罹患する可能性がなかたりする女性特有の疾病があります。そうした女性特有の病気やアクシデントを保障する、女性専用の医療保険を各社は用意しています。それが、いわゆる女性保険とされるものです。商品形態は、それ単独の商品である場合と、医療保険に特約として付保する場合とがあります。
単独商品では、終身医療保険に女性特有の疾病に幅広く対応できるや保険期間や保険対象年齢が区切られた「定期」タイプで無事故の場合、数年ごとに祝い金がもらえるタイプなど貯蓄を兼ねた商品があります。
現在、医療保険に女性疾病特約を付帯する特約タイプが女性保険として最も多く流通しています。特約タイプでは、A社が医療保険に加えて「女性疾病特約」を加えることを奨めています。乳がんや子宮がん、子宮筋腫などの治療目的で入院した場合、「女性疾病入院給付金」として1日目から5000円が、やけどあとに対する植皮術や乳房温存の手術を行うと1回につき10万円が支払われます。
もし、乳がんになった場合、がん保険の保障に加えて、この特約の保障が上乗せされることになります。また出産時の異常妊娠、異常分娩の場合、通常の手術・入院給付金に加えて、上乗せで保険金が支払われます。
女性は一般に「一家の大黒柱」ではなく、男性ほど高額な死亡保障を必要としないお考えられています。その分の保障を、こうした女性特有の病気に対する保障にあてようというニーズに答えた商品といえます。
「女性特有の」リスク回避だけで十分か
当然のことですが,どんなに保障が手厚くても「女性特有の」という
条件が付きます。前出の乳房や子宮などのがんを含む疾病はたしかに女性にとって気をゆけなければならないものですが、女性がかかる病気はそれだけではありません。
国立がんセンターの統計によれば、2004年にがんで死亡した女性12万7259例のうち、もっとも死亡者が多かったのは胃癌で、以下肺がん、結腸がん、肝臓かんで,5位にやっと「女性特有の」乳房がんが入っています。罹患者数は1位が乳房がん、以下、胃がん、結腸がん、子宮がん、肺がんの順ですが、結腸と直腸を合わせれば大腸がんがもっとも多くなります。
決して、子宮がんや乳がんや膣がんなどが上位独占しているわけではないのです。
「女性特有の」がんというのは、そのがんについては女性だけ、もし
くは圧倒的に女性が多いというだけのことで、全女性の罹患から考える
と、必ずしも第一義的に「女性特有の」がんを注意しなけれぱならない
ということではありません
そもそも、女性特有であろうがなかろうが、病気に対する医療費負担
に違いがあるわけではありません 通常治療の自己負担(3割)、高額
医療制度なども平等です。「女性特有の」病気だからより保障を高くす
る根拠はありません。
一般的ながん罹患のリスクに対応するなら、すべてのがんを対象とす
るがん保険の方か保障としては優れていますし、その選択の方が合理的
です。その意味で「女性特有の」という表現はかりに保険会社の側に
悪意がなかったとしても、女性の加入者が選択を誤りかねない表現であ
るように思います。
もらろん、遺伝など「女性特有の」がんが特に心配だという場合には、
こうした保険も必要ですし、がんだけではなく女性特有の疾病や生活の
リスクについて重点的な保障を望むニーズは否定できませんから、加入者の事情や価値観で総合的に検討すべき保険といえるでしょう。
メリット: 一家の大黒柱ではない主婦独自の保障が設定できる
デメリット 女性特有の疾病に対する保障だけを手厚くするこ
とへの疑問もある